この度、青山にお店を構えるアパレルショップ、COELACANTH様にて、COELACANTH別注モデルのシューズを受注生産と言う形になりますが、数量限定での受注会を開催させていただきます。

今回ブランドとしても初となる別注モデルがこちらになります。

今回の別注モデルを作るにあたり、幾つかのテーマを設けています。

【デザイン】
ウイングチップと言うクラシカルなデザインを
ファッションと言うフィルターに通した際に、
ジャンルレスでコーディネート出来る様にデザインを削ぎ落とし、且つ素材の持つ特性を活かす為にデザインされている。

【素材の歴史と特徴】
つま先と踵周りの素材には、黒の『茶利ゴート』を使用。
この革は植物の渋で鞣された山羊革「茶利革」に、縦横斜めからの手揉み「八方揉み」を繰り返し行い、革の表面を隆起させることで深い凹凸を生ませた革です。
多くの工程を人の手で行なっているため、技術を持った職人にしかつくる事ができず
日本独自の希少な革で、非常に美しい革です。

その誕生は明治3年西暦1907年 皮革技師として第一人者であったアメリカのチャールス・ヘンニンケルを一年間招き、西洋の鞣しが日本に普及しその後生まれた革は、チャールス氏の愛称チャーリーをとって「茶利(チャリ)革」と呼ばれ、さらに八方向から手揉みを施した茶利ゴートの元となる「茶利八方」が生まれました。

1897年創業の東京の革屋さんが当時の技術を継承し進化させたものが、今回使用している茶利ゴートです。
その製造過程では山羊革を水に濡らし、人の手により特殊な道具を使い革に凹凸を付け乾かし、その後また濡らし道具を使い凹凸を付け乾かしを複数回繰り返すことで、革が限界まで縮み、その凹凸は革を伸ばしても取れる事はありません。
通常革に凹凸をつける場合は革を薬品でシュリンクさせたり機械で型押ししますが、このやり方では革を引っ張ると凹凸が伸びてしまい凹凸が消えてしまう事があったり、機械で押した凹凸は均一感が強く茶利の様に自然な凹凸感が出ないのです。

そして、茶利ゴートとコンビで使用しているのが茶利ゴートを製造されている革屋さんに特注した『ゴートヌバック』です。
革の表面には銀面層と言う表皮がありますが、
この銀面層を均一に薄く削り起毛させる技術を持つ職人が減り、今ではこのクオリティのゴートヌバックを製造する事は難しい状況になっています。
更にゴートヌバックの深みのある黒色も、
職人の高い染色技術によるものです。
茶利ゴート×ゴートヌバック、それぞれの素材の持つ特徴を打ち消す事なく調和しているのも、同じ革屋での素材作りによるものが大きな部分です。

最後にライニングのつま先部分にも山羊革を使用する事で、靴に足を入れた時に優しく包みこまれる履き心地を実現しています。
アッパーとライニングを山羊革で統一する事で、柔らかさの相乗効果が生まれます。

【ゴートを使用する意味】
今年で創業128年の老舗革屋が、これまで受け継がれてきた高い鞣し技術を活かし進化させて完成したこの山羊革を通じて、今を生きる皆様に靴を通してこの山羊革の魅力でもある高い耐久性と柔らかさ、そしてこの茶利ゴートだけの美しい革の表情を、海外の有名タンナーにも引けを取らない日本の革屋が作る一流の革に触れていただきたいと思います。

【製法】
靴の製法は様々ありますが、機械式のグッドイヤーウェルテッド製法、マッケイ製法が市場に並ぶ靴の主な製法になっています。
どちらの製法にも一長一短あり、グッドはその製法からもソール交換が複数回行う事が出来長く愛用する事が出来ますが、履き始めは硬く足に馴染むのに時間を要します。
反対にマッケイ製法は使い始めから軽く柔らかいので足馴染みは良いのですが、ソール交換が出来る回数が限られ、長く歩く時にはやや疲れやすい事があります。
今回の靴に採用されているハンドソーンウェルテッド製法はどちらの短所もカバー出来、ソールの貼り替えも複数回行え、履き始めから柔らかく、グッドイヤーと同等の耐久性を備えています。
履き心地が柔らかなハンドソーンウェルテッド製法で作らた靴であればアッパーに使用したゴートの特徴も活かす事が可能であり、ファッションシューズを超えた高級革靴と同じ長く愛用する事が可能な一足になっています。

【使用したLAST】木型
靴の履き心地を決める大部分がこのラストと呼ばれる木型になります。
使用しているラストはフランスのヴィンテージラストをベースにし、これまでのビスポーク製作をしてきた経験値と、現代日本人の足型の特徴を加味して削りだしたブランドオリジナルラストです。
その有機的なシルエットは足を多角的にホールド出来る様にラストの底面まで起伏させたビスポーク仕様のラストで、機械式ではその形を再現出来ないため、手縫いのハンドソーンウェルテッド製法との組み合わせはとても理にかなっています。

ここまで長文の説明をお読みくださりありがとうございます。

別注モデルFado(ファド)は拘り抜いた一足になっていますので、ドレスシューズがお好きな方、ファッションとしてのシューズを選ぶ方、どちらの方にもお試しいただけますと幸いです。

尚、当日はouroの定番モデルのパターンオーダーシューズの受注もお受けいたします。

 

COELACANTH.AOYAMA

東京都渋谷区渋谷2-3-3 青山Oビル201

13時〜19時